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【症状解説】C型肝炎

C型肝炎とは

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって引き起こされる肝臓の病気です。HCVに感染すると、多くの場合、慢性肝炎、肝硬変、さらには肝がんへと進行する可能性があります。日本では約100万人がHCVに感染していると推定されており、その多くが自覚症状がないため、感染に気づいていないことが多いとされています。

C型肝炎ウイルス(HCV)の感染経路

HCVは主に感染者の血液を介して感染します。具体的な感染経路としては以下のとおりです。

  • 輸血や血液製剤の使用
    1992年以前の輸血や、1994年以前のフィブリノゲン製剤、1988年以前の血液凝固因子製剤の使用により感染する可能性がありました。
  • 医療行為
    適切に消毒されていない医療器具の使用や、針刺し事故など。
  • 入れ墨やピアス
    消毒が不十分な器具を使用した場合。
  • 注射器の共用
    薬物乱用者間での注射器の共用。
  • 母子感染
  • HCVに感染している母親から子供への感染。ただし、頻度は低いとされています。

一方、日常生活における握手、抱擁、食器の共用、入浴などではHCVは感染しません。

症状と経過

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、C型肝炎に感染しても自覚症状がほとんどないことが多いです。しかし、感染が進行すると以下のような症状が現れることがあります。

  • 全身倦怠感:体がだるく、疲れやすい。
  • 食欲不振:食欲が減退する。
  • 黄疸:皮膚や白目が黄色くなる。
  • 腹水:お腹に水がたまり、膨らむ。

HCVに感染すると、約70%の人が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する可能性があります。特に、60歳を超えると肝がんになる確率が高くなるとされています。

診断方法

C型肝炎の診断には以下の検査が行われます。

  • HCV抗体検査
    血液中にHCVに対する抗体があるかを調べます。陽性の場合、現在感染しているか、過去に感染していたことを示します。
  • HCV-RNA検査
    血液中にHCVの遺伝子が存在するかを確認します。これにより、現在の感染状況を把握できます。
  • 肝機能検査
    AST(GOT)やALT(GPT)などの値を測定し、肝臓の炎症の程度を評価します。
  • 画像検査
    腹部超音波検査やCT、MRIなどで肝臓の状態や肝がんの有無を確認します。

これらの検査を組み合わせて、総合的に診断が行われます。

治療法

C型肝炎の治療は主に抗ウイルス療法が中心となります。近年では、インターフェロンを使用しない経口薬による治療が主流となっており、高い治療効果が期待されています。また、2019年2月からは重度の非代償性肝硬変の患者でも内服可能な薬が登場しています。これらの抗ウイルス薬は高価ですが、医療費助成制度を利用することで自己負担を軽減することが可能です。

C型肝炎の予防と日常生活での注意点

現在、HCVに対するワクチンは存在しないため、感染予防が重要です。具体的な対策は以下のとおりです。

  • 血液との接触を避ける:他人の血液に直接触れないようにする。
  • 医療機関での注意:適切に消毒された器具を使用する。
  • 入れ墨やピアス:信頼できる施設で、適切に消毒された器具を使用する。
  • 注射器の共用を避ける:特に薬物乱用者間での注射器の共用は避ける。

日常生活においては、握手や抱擁、食器の共用、入浴などでHCVは感染しないため、過度な心配は不要です。

まとめ

C型肝炎は、血液を介して感染する肝臓の病気で、自覚症状が少なく、放置すると肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。感染の疑いがある方や、検査を希望する方は、内科や消化器科のある医療機関を受診してください。早期発見と治療により完治が目指せます。詳しい情報や相談は、お近くの保健所や専門機関でも対応しています。

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