
パートナーが性病だった場合
パートナーが性感染症(いわゆる「性病」)に感染しているとわかったとき、多くの人が衝撃を受け、「もしかして浮気?」「自分も感染しているのでは?」という不安に襲われます。心配、怒り、悲しみ、そして混乱──さまざまな感情が交錯する中で、どのように冷静に対処し、関係を続けていくべきかは大きな課題です。
性感染症は決して珍しい病気ではなく、誰にでも関わる可能性がある現実です。実際、厚生労働省の統計によれば、特に若年層を中心にクラミジアや梅毒の感染者が年々増加傾向にあります。また、無症状のまま進行するケースも多く、感染に気づかずにパートナーにうつしてしまうこともあります。
この記事では、「パートナーが性病だったら?」という現実に直面したときに、どのように理解し、行動すべきかを医療情報とともに整理して解説します。知っておくべき感染経路や予防法、伝え方、医師への相談の仕方などを具体的にまとめ、パートナーシップを守るために役立つ知識を解説します。
性感染症(性病)の感染経路と予防
- 性感染症は、性交渉・オーラルセックス・アナルセックスなどを通じて感染する
- コンドーム使用は有効な予防策だが、完全ではない
性感染症(STD)は、ウイルスや細菌が粘膜から侵入することで感染します。膣性交に限らず、オーラルセックスやアナルセックスでも感染リスクがあり、皮膚や体液の接触によっても感染する可能性があります。
厚生労働省によれば、20代の若年層を中心にクラミジアなどの性感染症の報告数が増加しています。2021年の統計では、クラミジア感染症の報告件数は男女合わせて約28,000件。これはあくまで報告された数であり、無症状のまま放置されている感染も多いと考えられています。
予防策としては、コンドームの使用が最も一般的です。ただし、コンドームを使っても感染リスクが完全になくなるわけではなく、性器以外の接触部位からも感染する病原体(梅毒やヘルペスなど)も存在します。
無自覚の感染と再感染のリスク
- 性病は症状が出ないまま感染していることもある
- パートナーとの「ピンポン感染」に注意が必要
多くの性感染症は無症状、または軽い症状しか出ないため、自分が感染していることに気づかないことが多くあります。特にクラミジアや淋菌感染症は女性に無症状が多く、治療をせずに放置すると不妊症や子宮外妊娠のリスクを高めることがあります。
また、治療中にパートナーと性交渉を続けると、双方で何度も感染し合う「ピンポン感染」が起こる危険性があります。これを防ぐためには、両者が同時に検査と治療を受けることが重要です。
パートナーとの同時検査・治療の重要性
- 同時検査・治療は再感染防止に不可欠
- 医療機関ではカップルでの相談も可能
性感染症の再発を防ぐには、感染源を断つ必要があります。カップルのどちらか一方だけが治療を受けると、治癒後にまた感染してしまうリスクが高まります。したがって、感染が判明した場合は、パートナーにも検査を受けるように伝え、同時に治療することが理想的です。
最近では、医療機関で「カップル検査パック」などを提供するケースもあり、2人で安心して受診しやすい環境づくりが進められています。
感染経路の多様性と潜伏期間
- 性病は「浮気」だけが原因ではない
- 感染源は過去のパートナーの可能性もある
パートナーが性感染症にかかっていた場合、「浮気をされたのでは」と疑ってしまう人も少なくありません。しかし、性感染症には潜伏期間があるため、以前の交際相手からの感染である可能性もあります。
たとえば、クラミジアは感染から2~3週間、梅毒では3週間~3か月ほどの潜伏期間があります。こうした性病の性質を理解し、冷静に事実と向き合うことが求められます。
パートナーへの伝え方とコミュニケーション
- 告知は冷静かつ誠実に
- 非難せず、共に解決する姿勢が大切
「自分が性病に感染していた」と知ったとき、パートナーにどう伝えるかは非常に繊細な問題です。相手を責めたり、自分を責めすぎたりせず、冷静に事実を伝えましょう。
責任を押し付けず、「一緒に乗り越える」姿勢を持つことで、信頼関係を保ちやすくなります。
医師への相談と専門的なサポート
- 医師は中立的な立場で対応してくれる
- カップルカウンセリングも活用できる
性感染症に関して不安や疑問があれば、まずは専門の医療機関や性感染症外来に相談することが勧められます。病院によってはパートナー同伴での受診や、心理的なケアを行うカウンセリングの提供もあります。
不安を抱えたまま一人で悩まず、専門家のサポートを受けることで、適切な対応がとれるようになります。
性感染症の種類と症状の理解
- 代表的な性感染症にはクラミジア・淋病・梅毒・HIVなどがある
- 早期発見・早期治療がカギ
性感染症は数十種類以上存在し、それぞれ症状や治療法が異なります。以下は主な例です:
| 性感染症 | 主な症状 | 備考 |
|---|---|---|
| クラミジア | 性器のかゆみ・痛み、無症状も多い | 日本で最も多い |
| 淋菌感染症 | 排尿痛・膿 | 男女とも症状が出やすい |
| 梅毒 | 発疹、しこり、無症状の時期も | 近年再増加傾向 |
| HIV感染症 | 免疫低下、風邪様症状 | AIDS発症前に治療が鍵 |
症状が軽度または無症状のものも多いため、定期的な検査が唯一の発見手段となる場合もあります。
まとめ
- 性病は性交渉・オーラル・アナルセックスなどから感染する
- 多くの性病は無症状のまま進行するため、定期的な検査が必要
- 感染が見つかったら、パートナーと同時に検査・治療を受けることが重要
- 感染=浮気とは限らず、過去の感染が判明することもある
- パートナーへの告知は冷静に行い、共に解決する姿勢が信頼を築く
- 医療機関や専門家のサポートを活用することで、不安や関係悪化を防げる
- 様々な性感染症に対する正しい知識と対応が、関係継続の鍵となる
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