
オーラルセックスと性病のリスク
オーラルセックス(フェラチオやクンニリングス)は、多くの人にとって比較的リスクが低い性行為だと考えられがちですが、実際には多くの性感染症(STD)の感染経路となり得ます。特に咽頭(のど)を介した性感染症は、自覚症状が乏しく、知らないうちに感染を広げてしまうリスクがあるため、十分な注意と正しい知識が必要です。
本記事では、医療機関や専門機関の情報に基づき、オーラルセックスを通じて感染する可能性がある性病とその対策について詳しく解説します。
オーラルセックスで感染する主な性病
淋病(淋菌感染症)
- 咽頭への感染が増加している性感染症
- 感染してもほとんどが無症状
- 咽頭淋病の検査には「うがい液」や「咽頭ぬぐい液」を使用
淋病は、淋菌という細菌によって引き起こされる性感染症です。性器感染が有名ですが、オーラルセックスを介して喉に感染する「咽頭淋病」も近年急増しています。咽頭淋病の特徴は、自覚症状がほとんどないこと。のどの違和感や痛みが出る場合もありますが、多くは無症状のまま経過し、感染に気づかないままパートナーに感染を広げる可能性があります。
特に男性の約94%、女性の約96%が無症状というデータもあり(STD研究所調べ)、感染リスクがある行為をした後は、症状がなくても検査を受けることが重要です。
クラミジア感染症
- 日本で最も多く報告される性感染症
- 咽頭に感染することがあり、こちらも無症状が多い
- 若年層(20代前半)の女性に特に多い
クラミジアは、クラミジア・トラコマティスという病原体によって起こる感染症で、性器だけでなく咽頭にも感染します。感染経路は、オーラルセックスによる粘膜接触です。咽頭クラミジアも無症状のことが多く、自然治癒することはありません。
日本では毎年2万人以上のクラミジア感染者が報告されており、20代女性に集中しています。放置すると不妊や骨盤内感染症の原因になることもあり、早期発見と治療が肝心です。
梅毒
- オーラルでも感染する「接触感染型」の性感染症
- 初期には口腔内にしこりや潰瘍ができることも
- 国内患者数は2014年から2023年で約9倍に急増
梅毒は、スピロヘータという細菌が皮膚や粘膜の傷から体内に入り込むことで感染します。フェラチオやクンニリングスなど、オーラルセックスにおける直接接触でも感染する可能性があります。口腔内に感染した場合、初期段階では「硬性下疳」と呼ばれる無痛性のしこりや潰瘍ができることがあります。
厚生労働省のデータによると、梅毒患者は2014年の1,228人から2023年には12,900人を超えるほど増加しており、中でも20〜30代女性の急増が顕著です。
単純ヘルペスウイルス(HSV)
- HSV-1とHSV-2があり、口唇・性器に感染
- オーラルで相互感染の可能性(口→性器、性器→口)
- 水疱・潰瘍などの症状が現れる
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と2型(HSV-2)に分けられます。HSV-1は主に口唇に感染し、HSV-2は性器に感染しますが、オーラルセックスによって相互に感染することがあります。たとえば、口唇ヘルペスを持っている人がフェラチオを行うと、相手が性器ヘルペスに感染する可能性があります。
ヘルペスは一度感染すると体内に潜伏し、疲労やストレスで再発する特徴があります。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
- オーラルでも感染の可能性あり(特に出血や口内炎がある場合)
- 精液・血液が口腔内に入ると感染リスクが上がる
- 年間新規感染者数は約1,000人(日本)
HIVは、体液(精液・血液など)を介して感染するウイルスです。一般的な性行為よりも、オーラルセックスでの感染率は低いとされていますが、ゼロではありません。特に口内に傷口や炎症、出血がある場合、感染のリスクが高まります。
日本では毎年約1,000人以上のHIV新規感染者が報告されており、無症状の期間が長いため、感染に気づかずにウイルスを拡散させるケースも少なくありません。
性感染症の予防方法
コンドーム・デンタルダムの使用
- 口腔と性器の接触を遮断することで感染予防
- デンタルダムは薄いラテックス素材でできたシート
- 性器に傷や発疹がある場合は性行為を避けるべき
コンドームやデンタルダムを使用することで、口と性器の粘膜同士の接触を防ぎ、性感染症のリスクを大幅に低減できます。フェラチオにはコンドーム、クンニリングスにはデンタルダムを使用するのが基本です。使用感に抵抗がある人もいますが、自身とパートナーの健康を守るための大切な手段です。
定期的な性病検査
- 咽頭性感染症は無症状でも感染している場合が多い
- 自宅でできる郵送検査も普及
- STDチェッカーなど匿名で結果が分かるサービスがある
自覚症状がない場合でも、性感染症に感染している可能性があります。そのため、性行為の頻度やパートナーの変化に応じて、定期的に検査を受けることが重要です。近年では、郵送での検査サービスも広く利用されており、STDチェッカーなどを活用すれば、誰にも知られずに安心して検査を受けることができます。
パートナーとのコミュニケーション
- 感染歴や検査歴の共有が感染予防につながる
- 新しいパートナーと関係を持つ前に話し合う習慣を
- 相手を非難するのではなく、共同で対策する姿勢が大切
性感染症対策は、個人の努力だけでなくパートナーとの信頼関係のもとに成り立ちます。検査を受けることや予防策を講じることを共有することが、健全な性的関係を築く第一歩です。とくに新しいパートナーとの関係を始める前には、検査を促すことがリスク軽減につながります。
性感染症検査の種類と特徴
- 咽頭クラミジア・淋病:うがい液採取で検査可能
- 梅毒・HIV:血液検査
- 郵送検査は匿名・自宅で完結しやすく、受診のハードルが低い
検査は感染症によって必要な検体が異なります。たとえば、咽頭感染が疑われる場合は「うがい液」での採取が効果的で、STDチェッカーなどでも採用されています。血液が必要な梅毒やHIVは、郵送でも指先からの血液で対応可能です。自宅で気軽に受けられる検査が増えたことで、以前よりも性感染症の早期発見がしやすくなっています。
まとめ
- オーラルセックスでも性病感染のリスクは十分にある
- 淋病やクラミジアは咽頭に感染しやすく、無症状が多い
- 梅毒やヘルペス、HIVもオーラルで感染の可能性がある
- コンドームやデンタルダムを正しく使えば予防効果が高い
- 自覚症状がなくても定期的な検査を行うことが大切
- 郵送検査を活用すれば、誰にも知られず検査できる
- パートナーとの信頼関係と情報共有が最も重要な予防策
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