
クラミジア
クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症の一つです。特に若年層での発症が多く、多くの感染者が無症状のまま気づかないため注意が必要です。クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)という細菌によって引き起こされ、主に性行為を通じて感染します。
クラミジアとは
クラミジアは、クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症です。この細菌は、人工培地では増殖できず、細胞内でのみ増殖する特性を持っています。主に性行為を通じて感染し、尿道や子宮頸管、咽頭、直腸などに炎症を引き起こします。特に若年層の女性に多く見られ、無症状のまま感染が進行することが多いため、早期の検査と治療が重要です。
感染経路
クラミジアは、以下のような性行為を通じて感染します。
- 腟性交
男性から女性、女性から男性へ感染します。 - オーラルセックス
口腔から性器、性器から口腔へ感染します。 - アナルセックス
直腸や肛門への感染が起こります。
また、感染した母親から新生児への産道感染も報告されています。この場合、新生児は結膜炎や肺炎を発症することがあります。
症状
クラミジア感染症は、多くの場合無症状で進行しますが、症状が現れる場合は以下のとおりです。
- 男性
- 排尿時の痛みや不快感
- 尿道からの透明または白色の分泌物
- 精巣上体炎による陰嚢の腫れや痛み
- 女性
- おりものの増加や異常
- 不正出血
- 下腹部の痛み
- 性交時の痛み
これらの症状は他の性感染症と類似しているため、正確な診断が求められます。
検査方法
クラミジアの検査は、感染部位に応じて以下の方法で行われます。
- 尿検査
主に男性の尿道感染の検査に用いられます。 - 膣分泌物検査
女性の子宮頸管感染の検査に使用されます。 - 咽頭ぬぐい液検査
オーラルセックスによる咽頭感染の検査に適用されます。 - 直腸ぬぐい液検査
アナルセックスによる直腸感染の検査に用いられます。
これらの検体から、抗原検査や遺伝子増幅法(PCR法)を用いてクラミジアの存在を確認します。検査結果は数日以内に判明し、陽性の場合は適切な治療が必要です。
治療方法
クラミジア感染症の治療には、抗菌薬の内服が一般的です。主に以下の抗菌薬が使用されます。
- テトラサイクリン系抗菌薬:ドキシサイクリンなど
- マクロライド系抗菌薬:アジスロマイシンなど
- ニューキノロン系抗菌薬:レボフロキサシンなど
治療期間は通常2~3週間で、医師の指示に従って服用します。治療中は性行為を控え、パートナーも同時に検査・治療を受けることが再感染防止として大切です。
予防方法
クラミジア感染を予防するためには、以下の対策が有効です。
- コンドームの使用
性行為時に正しく使用することで感染リスクを大幅に減少させます。 - 定期的な検査
特に複数の性パートナーがいる場合や新しいパートナーとの性行為の前後に検査を受けることが推奨されます。 - 性教育の徹底
性感染症に関する正しい知識を持ち、リスクの高い行動を避けることが重要です。
まとめ
クラミジアは日本で最も多い性感染症で、特に若年層に無症状のまま進行しやすいため、早期の検査が大切です。感染しても症状が出ない場合が多く、放置すると不妊などのリスクもあります。感染が確認された場合は、抗菌薬での治療が可能ですが、パートナーと一緒に治療を受けることが再感染を防ぐために重要です。性行為時のコンドーム使用や定期的な検査で予防できます。心配な場合は、医療機関での相談・検査をしましょう。
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